「月経困難症」ってどんな症状? 原因や改善方法は?
2018/08/09
生理痛の、つらい症状に悩んでいませんか?
もし、その症状で、日常生活に困難を感じているなら、「月経困難症」かもしれません。
生理痛は、当たり前の症状ではないんです。
つらい痛みの原因には、重大な病気が潜んでいる可能性も。
「ただの生理痛」と思わず、痛みと向き合っていきましょう。
今回は、ツライ悩みの原因「月経困難症」について、まとめました。
目次(Contents)
月経困難症の治療方法や改善方法とは
月経中、痛みや吐き気、頭痛やイライラといった精神的な症状で、日常性活に支障をきたす症状がある場合、月経困難症の可能性があります。
多くの女性が、月経中に、生理痛によって、何かしらの不快感が生じていると思います。
しかし、月経困難症の場合は、日常生活に支障をきたすほどの症状ですので、治療が必要です。
そんな、女性のツライ症状の治療法には、どんなものがあるのでしょうか?
月経困難症の原因には、大きく分けて、2種類あります。
ひとつは、子宮筋腫や子宮内膜のような病気が、原因となっている『器質性月経困難症』。
もうひとつは、ホルモンバランスの乱れなどが原因となり、他の病気を伴っていない『機能性月経困難症』です。
器質性月経困難症の場合は、病気をともないますので、原因となる病気の治療が必要になります。
いすれにしても、不快な症状を軽減するための治療が、行われます。
鎮痛剤の処方
月経困難症の薬物療法とは、主に、鎮痛剤のこと。
非ステロイド抗炎症約と子宮収縮抑制剤です。
機能性月経困難症の場合、プロスタグランジンという物質が多く、子宮内膜で作られているといわれています。
このプロスタグランジンは、経血を体内に排出するための物質。
過剰に分泌されると、子宮の収縮が強くなるため、月経困難症の原因であり、痛みの原因となると考えられているのです。
そのため、処方される鎮痛薬には、プロスタグランジンの生成を抑制する、鎮痛剤が用いられることが多いようです。
これらの鎮痛剤は、痛みの原因となる物質に直接働きかけるので、即効性が高いのですが、持続性がないとも……。
また、強い痛みへの効果が弱いので、痛みが弱いうちに服用すると効果的です。
痛みを感じたら、早めに医師に相談すると良いですね。
低用量ピル・経口ホルモン剤の処方
鎮痛剤が効かない場合や月経過多をともなう場合は、ピルによるホルモン治療を使用することがあります。
経口ホルモン剤には2種の女性ホルモン(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)を含む薬があり、EP配合剤と呼ばれます。
いわゆる、ピルです。
EP配合剤は、避妊や生理痛など、様々な目的で使用されます。
ピルは、避妊のイメージが強いかもしれないですが、
- 避妊目的で作られた低用量ピル
- 生理痛治療目的で作られたLEP
があります。
どちらも成分は似ていて、月経困難症の治療に用いられています。
欧米では、LEP剤が、月経困難症治療の第一選択薬になっているんですよ。
ピルには、女性ホルモンが配合されていて、服用することで、妊娠に近いホルモンバランスに。
月経困難症の原因となる、排卵を抑えます。
月経痛の症状が、持続的に軽減されるだけでなく、月経量を減らしたり、内膜症の進行を抑制することも期待できます。
将来の不妊対策としても、一役あるというわけです。
ちなみに、避妊目的のピルの処方は、自費診療ですが、月経困難症など、病気治療に対する処方は、保険適用になりますよ。
ただし、ピルは、避妊薬でもあるので、妊娠希望の場合、ピルを使えないので、医師に相談してみましょう。
漢方薬の処方
症状や体質などに応じた、漢方治療を用いることもあります。
漢方医学の視点では、月経困難症は、「血(けつ)」の異常が、原因と考えられています。
血液の滞りによる血行不良(お血)や、血液が不足している(血虚)などといった、血の異常を解消する漢方薬を用いて、月経困難症を改善していきます。
何らかの病気が原因の、器質性月経困難症の場合は、病気の治療と併用することもあります。
漢方治療の場合、血の異常に対する治療となるので、痛みをとるだけでなく、血によってもたらされた、さまざまな不快や不調も改善されることが期待されます。
月経困難症や月経痛には、以下の漢方薬が使用されています。
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 温経湯(うんけいとう)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
そのため、専門医による処方を受けましょう。
また、月経痛や月経困難症の場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因の場合もあるので、西洋治療としての、病院での検査や診察も行いましょう。
IUS
出産経験がある、40歳以上の方向けの方法です。
子宮内に小さな器具を装着し、黄体ホルモンを放出します。
装着することで、子宮内膜が厚くなるのを抑制し、プロスタグランジンの生産を減少させます。
本来は、避妊目的で作られた器具ですが、最近では、月経困難症や月経過多の治療にも利用できるようになりました。
器具が細くなって、出産未経験の方でも装着する人もいるようですが、子宮口の拡張が必要になることもあります。
出産経験のない場合は、ピルや漢方などの薬物治療が優先されます。
月経困難症ってそもそも何?月経困難症の原因
ここまで、月経困難症の治療方法について説明しましたが、そもそも月経困難症とは?
生理痛とは違うの?原因は何?と疑問になった方もいるでしょう。
先に少し触れましたが、月経困難症は、月経に伴う不調が、日常生活に支障をきたしていて、治療が必要な症状です。
症状は、月経にともなう、腹痛、腰痛、頭痛、吐き気やお腹の張り、イライラや不安感などです。
生理痛のようですが、症状が重く、強く現れ、日常生活が困難になります。
月経困難症の判断は、医師によって判断されます。
ただ生理痛の症状が重たいだけでは、月経困難症とはいえません。
どれくらいの痛みや症状があって、日常生活にどの程度支障が出ているかで、判断されるのです。
複数の症状が、一度にくると、それだけ支障が出てきますよね。
例えば、起きているのも辛い、集中できない状態であれば、通勤、通学、家事が難しいと感じるでしょう。
また、イライラや不安感などの精神的症状が強ければ、周囲とのトラブルにも。
腹痛、下痢、嘔吐が強く出れば、食事もままならないですし、外出も難しくなりますね。
これらの症状が気になりだしたら、症状や程度、日数などを記録しておくと、医師の判断にも役立ちますよ。
器質性月経困難症とは?
器質性月経困難症とは、婦人科系の病気が原因によるものです。
子宮に起こる婦人科系の病気とは、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮奇形など。
30代以降の女性にみられることが多く、月経4~5日目や月経が終わった後にまで、鈍い痛みが続くことが多いといわれています。
月経困難症の原因となる病気を治療することで、症状も改善されることが多いとされています。
機能性月経困難症とは?
機能性月経困難症とは、子宮や卵巣に原因となる病気が見つからない場合を指します。
プロスタグランジンが、子宮内で多く作られてしまうことが、原因のひとつだと言われています。
しかし、プロスタグランジンが過剰に分泌される原因は、はっきりしていません。
また、子宮頚管の幅や自律神経の乱れなども、原因となっている可能性があります。
10代後半から20代前半の女性に多く、月経の初日から2日目に、特に症状が強くなるといわれています。
妊娠、出産によって、症状が改善することもあるようです。
PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)
PMSという言葉は、もうご存知ですよね。
月経困難症は、月経中の症状に対するものでした。
しかし、多くの女性が、月経前から、イライラや体の不調を感じています。
このような、月経前の不快な症状をPMS(月経前症候群)と呼びます。
さらに、精神的症状が強い場合を、PMDD(月経前不快気分症)と呼びます。
関連記事 PMSで精神的な症状が強く出る人はPMDD(月経前不快気分障害)の可能性もあり!?月経は、基本的に28日周期。
その期間内には、月経、卵胞期、排卵、黄体期があります。
PMSは黄体期、月経1週間前くらいに起こります。
月経1週間前くらいに、イライラや不安感、お腹の張り、頭痛やむくみを感じて、生理がくるなと感じる方も多いはず。
これらの黄体期の症状が、PMS(月経前症候群)です。
PMDD(月経前不安気分症)の場合は、精神的な症状が強く現れます。
激しいうつ状態、絶望感、イライラや不安や、突然に涙が出る、激しい怒りが続く。
他にも、疲れや倦怠感、過食、過眠、不眠、体重増加などが、主な症状としてあげられます。
PMS・PMDDと月経困難症の関係
月経困難症は、PMSの後に、継続することが多いといわれています。
月経前に、イライラや不安感を感じていると、月経による腹痛や疲労感が、高まるのです。
PMSは、精神的なストレスが起因することも多く、機能性月経困難症と併発する可能性があるということです。
PMSも、ホルモン療法やピルで、ホルモンバランスを整えることやストレスの緩和で、改善していきます。
月経前でも、月経中でも、不調を感じたら、医師に相談に行きましょう。
放置したことで、症状が重症化する可能性もありますよ。
PMSの改善は、サプリでできる
PMSのようなホルモンバランスの乱れは、サプリで改善できます。
詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
関連記事
月経困難症は病気が原因かも?考えられる病気とは
器質性月経困難症の場合は、原因となる婦人科系の病気があります。
主な病気に、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などが考えられます。
それでは、どのような病気なのでしょうか?
子宮内膜症とは?
子宮内膜症とは、子宮の内側にある内膜や組織が、子宮以外の卵巣や腹膜で、増殖、剝離を繰り返す病気です。
通常、子宮内膜は、月経として体外に排出されますが、子宮内膜症になると、腹腔内に残り、炎症や痛み、癒着の原因になります。
症状としては、ズキズキと耐えがたい痛みが続きます。
子宮内膜症の原因は、はっきりとはしていません。
20代~30代の女性に増加しており、生理のある女性なら、子宮内膜症になる可能性があるのです。
子宮筋腫とは?
子宮筋腫とは、子宮の筋肉に、硬いコブ状の腫瘍ができる病気です。
腫瘍といっても、悪性のことは稀で、ほとんどの場合は、良性です。
良性の腫瘍は、それ自体が生命を脅かすものではありません。
しかし、放置すると、巨大化することもあり、また、複数個できることが多いといわれています。
症状は、大きさや、腫瘍の場所によって異なります。
子宮の内側であれば、月経量の増加、月経外出血などの症状が強くなるといわれています。
逆に、外側の場合は、症状が出にくく、自覚症状がないために気づかない人もいるほど。
原因は、はっきりせず、40歳以上の女性の4人に1人に筋腫があるといわれています。
20~30代の女性に多くみられますが、若い人がかかると、不妊や流産しやすくなるといった問題があります。
子宮腺筋症とは?
子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が、筋肉層である子宮筋層で、増殖と剝離を繰り返す病気です。
月経のたびに、子宮筋層にできた組織が、増殖し広がり、子宮筋層が厚くなっていきます。
炎症や腫れが広がるため、月経痛、月経過多、出血日が長く続くなどの症状を引き起こすのです。
子宮内膜症にも似ていますが、子宮以外に子宮内膜のような組織ができるのが、子宮内膜症。
子宮内膜の組織が、子宮筋層内に入り込むのが、子宮腺筋症です。
30代後半~40代の女性に多くみられます。
月経困難症は妊娠しやすさや不妊に関係がある?
月経困難症のような難しい名前を聞くと、不妊の原因になるのでは?と考える人もいるでしょう。
しかし、月経困難症でも妊娠、出産をしている女性はいます。
機能性月経困難症の場合、病気を併発していないこともあり、月経困難症が、不妊の原因と言い切ることはできません。
子宮内膜症の場合でも、妊娠や出産の経験をすることで、症状が改善することがあります。
ただし、不妊治療中の女性の約15%に、子宮内膜症があり、妊娠しにくい傾向があるといわれています。
子宮筋腫の場合、腫瘍によって、子宮の形が変形し、着床しにくくなり、妊娠の条件が悪くなるとこも。
不妊の方で、筋腫を取り除くことで、妊娠、出産をされている人がいるのも事実です。
ただ、子宮筋腫があるといっても、筋腫を持ったまま妊娠する人もいます。
確かに、月経困難症の人は、そうでない人に比べると、妊娠しにくい可能性があるかもしれません。
しかし、過剰に心配しすぎると、心身ともに負担となり、症状を悪化させたり、妊娠しにくい状況を作ることになりかねません。
月経困難症かも?と感じたら、早めに医師に相談し、治療を受けるようにしましょう。
妊娠には、ストレスを溜めないことや、自身の体調管理が重要ですよ。
ライター紹介
PMS改善日記 編集部
「つまんないこと、バイバーイ。たのしいこと、ウェルカム!」
「PMS改善日記」は、PMSや生理痛をはじめとしたツラい悩みにお別れして、もっとステキで楽しい毎日を送りたいあなたを応援するwebマガジンです。
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