子宮内膜症ってどんな病気?PMSと関係はあるの?違いは?
2017/12/05
こんにちは、田中みかです。
あなたは、子宮内膜症ってどんな病気で、PMS(月経前症候群)とどんな関係があるのか、気になったことはありませんか?
PMSについて調べていると、子宮内膜症という病名を目にすることが、たびたびあります。
芸能人にも、子宮内膜症に悩まされる人は、珍しくありません。
子宮内膜症は、なんと10代後半以降、4人に1人が発症する可能性のある病気なんです。
子宮と卵巣があれば、誰でも、なる可能性がある病気なので、決して他人事ではありません。
実は、わたしも、子宮内膜症じゃないかと、気になっていたことがありました。
そこで、今回は、子宮内膜症とPMSとの関係や違いについてまとめてみました。
子宮内膜症はどんな病気?
子宮内膜とは
子宮内膜とは、子宮の内側に面している壁、膜のことをいいます。
子宮内膜は、大まかにいうと、下記の3つから構成されています。
- 子宮の内側に面した表面層(緻密層)
- 女性ホルモンの分泌量によって肥大するスポンジ状の部分(海綿層)
- 海面層、緻密層を支える土台(基底層)
子宮内膜症とは
子宮内膜は、子宮の内部にあるはずですが、子宮内膜症は、子宮内膜に類似した細胞が、子宮の内部以外の場所で発生する病気です。
放置すると、消化器官などの細胞との癒着、細胞の硬化などを引き起こすことがあります。
子宮内膜症が発生するのは、子宮内膜以外のどこと限定されておらず、主に、骨盤内の下腹部を中心に起こることがわかっています。
- 卵巣の表面・内部
- 子宮の表面・筋肉層
- ダグラス窩(ダグラスか)
※子宮と直腸の間にあるくぼみのことを指す - 腸
- 腹膜表面
子宮内膜症の種類
子宮内膜症は、起こる場所によって、呼び方が変わります。
- 腹膜病変
- チョコレート嚢胞(卵巣)
- ダグラス窩深部病変
- 子宮腺筋症(子宮筋層)
ちなみに、チョコレート嚢胞とは、卵巣に子宮内膜様細胞ができて、血が溜まる病気です。
子宮内膜症の症状
発生した細胞は、子宮内膜と同じ働きを持っています。
子宮内膜以外にできた子宮内膜様の細胞、それの何が困るのかというと、生理周期に合わせて分泌される女性ホルモンに反応し、細胞が変化していくからです。
子宮内膜は肥大し、剥離し、経血として体外に排出されます。
もしも、それが、出口のない子宮内以外の場所で起これば、体内でただ出血し、傷が出来たも同然です。
体の免疫系は、傷ができた部分を守ろうとしますから、硬化したり、癒着したりして、結果的に、状態を悪化させてしまいます。
本来、個々に独立して働く場所が癒着を起こすと、スムーズに動けなくなり、筋肉が張ったり、引っ張られたりしたときに、痛みを感じるようになります。
また、硬化した細胞が、周囲の神経を刺激することも、痛みの原因になります。
具体的に起こる痛みとしては、下記のようなものがあります。
- 生理痛
- 下腹部痛
この2つの症状を自覚症状として感じている人は、最も多く、ひどい人の中には、生理ではないのに、毎日痛みを感じる人もいます。
上記2つに加えて、下記の2つは、子宮内膜症に特徴的な痛みです。
- 性交痛
- 排便痛
その他、腰痛・骨盤の痛み・頭痛・足の痛み・関節痛などの痛みを感じる人もいます。
痛みの他に、表れる症状は、下記のようにさまざまなものがあります。
- 不正出血
- 経血過多・レバーのような塊が出る
- 腹部膨満感
- 下痢
- 肩こり
- 便秘
- 吐き気・嘔吐
- 頻尿
- 発熱
- めまい
- 疲労
- 消耗感
しかも、人によっては、組織の癒着が起こっていても、何の痛みも感じない人もいるそうで、まだまだ謎に包まれた病気といえます。
これだけたくさんの症状が出ると、命の危険を感じるかもしれませんが、基本的には、子宮内膜症は、命に関わる病気ではないそうです。
ただし、チョコレート嚢胞が「がん化」してしまった場合は、命に関わります。
子宮内膜症の原因
子宮内膜症は、明確な原因がわかっておらず、まだ仮説段階のようです。
経血が体外に排出せず、卵管に逆流し、細胞が移植された状態になった、と考える説が、有力とされています。
子宮内膜症によって起こるトラブル
子宮内膜症と不妊の、はっきりとした因果関係は、まだ解明されていないようです。
しかし、子宮内膜症による癒着によって、子宮や卵巣・卵管の働きが弱まっていること、子宮内膜症と不妊の併発が目立つことから、何らかの関係があると考えるようになってきているようです。
また、子宮内膜症は、激しい生理痛を伴うことで知られており、仕事を休むなど支障が出る場合もあります。
月に1度起こるものなので、職場内で理解が得られないと、気まずい思いをする人もいるようです。
子宮内膜症の検査
子宮内膜症の診断方法は、大きく分けて、確定診断と臨床診断の2つがあります。
確定診断は、手術と同時に腹部を開いたり、腹腔鏡を使用して、病気の発生部分を直接確認する診断です。
一方、臨床診断は、問診や内診、エコー検査、MRI検査などの画像や映像を確認することで、診断する方法です。
確定診断以外の診断方法では、子宮内膜症の可能性があること、検査方法によっては、特定の部位にできた子宮内膜様細胞しか発見できないという点に、注意が必要です。
ちなみに、エコー検査・MRIは、チョコレート嚢胞を発見するのに効果的です。
また、内診では、ダグラス窩付近の診断、場所の特定はできませんが、血液検査で、子宮内膜症の診断ができます。
確定診断を行わない場合、問診で、いかに自覚症状を正確に伝えられるか、よい先生に診てもらえるかどうかが、子宮内膜症発見の糸口です。
治療
子宮内膜症は、直接命に関わる病気ではないといわれており、治療方法は、薬物治療と手術とに分けられます。
薬物治療
薬物を使用して治療する場合、子宮内膜症によって生じた痛みや不快症状を緩和する方法と、症状を起こす根本、ホルモンバランスを一定に保つ方法とがあります。
前者は、鎮痛剤や漢方薬を用い、後者は、低用量ピルや、GnRHアゴニストなどがあります。
GnRHアゴニストは、偽閉経療法といい、閉経後と同じ状態を作ることで、症状を緩和する方法です。
人工的に閉経させるため、更年期障害の発生などのリスクもあります。
子宮内膜症は、閉経後は症状が緩和する特徴があるので、そのために行われる治療法です。
手術
手術が必要になるのは、チョコレート嚢胞が大きくガン化する危険があったり、子宮内膜症によって、不妊が起こっていたり、命の危険や、人生設計に支障が出る場合です。
子宮内膜症は、子宮と卵巣がある限り、再発可能性の高い病気です。
そのため、それらの器官を取り除く根治手術も存在しますが、多くは、子宮や卵巣を残す保存手術から検討されます。
チョコレート嚢胞については、卵巣内の血液を除き、エタノールを注入して、再発を予防する注入療法もあります。
PMSとの違いは?関係は?
現時点では、PMSの症状と子宮内膜症に直接の関係はない、といわれています。
PMSでも、下腹部痛を感じることがありますが、子宮内膜症で起こる痛み、は特に強い痛みで、日常生活に支障が出る場合もあります。
直接関係がないとはいえ、PMSの時期には便秘になったり、子宮が張ったりして筋肉が引っ張られることも多いため、子宮内膜症の痛みを、余計に強く感じることもあります。
PMSで起こる下腹部痛は、生理が終わると、パタッと無くなることが特徴です。
慢性的に下腹部痛がある場合は、子宮内膜症をはじめ、様々な病気が隠れている可能性があります。
子宮内膜症について~まとめ~
- 子宮内膜症は、女性であれば、誰でも発症する可能性のある病気
- 日常生活に影響を与えるほどの生理痛、排便痛、性交痛など、様々な痛みが特徴として挙げられるが、全く痛みがない人もいる。
- PMSと直接的な関係はないが、下腹部痛、生理痛が生理後も継続したり、日常生活に支障が出るほどに痛む場合は、子宮内膜症や別の病気の可能性もある。